★FLMASK裁判傍聴日記★  


【第1回公判傍聴記】  by Mr. XXX
                        

1997年8月21日
大阪地裁でFLMASK裁判第一回公判が始まった。


<1>

私は、東京10時発ののぞみに乗って大阪に向かった。
新大阪から地裁のある淀屋橋までは
地下鉄で4駅の近さだった。

私にとっては、初めての大阪。
地下鉄で騒いでいるおばちゃん達の話は
全て漫才に聞こえた。

淀屋橋の駅を出ると
そこはまるで銀座だった。

快晴。暑い!
気温は私の体温を遥かに超えている。

WEBでDOWNした地裁までの地図を頼りに
歩き始める。

どこかで右翼の宣伝カーが騒いでいる。

この暑いのに元気だなぁって思っていたら
それは、
大阪市役所から流れているものだった。

まるで軍艦マーチ。
「なんやねん?こりゃ??」

横山ノック、ここまでやるか?

私の大阪の印象=銀座のパチンコ屋=吉本に支配されてる

これで決定的になった。


<2>

大阪地裁 803号法廷

傍聴席は、50席くらいあるだろうか。
そのうち40席くらいが埋まっている。

「起立!礼!」

公判が始まった。

しかし、何で傍聴人まで頭を下げないといけないのだろう?

あれ?検察は、女じゃないの!
なんか、いかにもフェミニズムを主張しそうな感じの人だ。

検察の作戦?
女出せばいいってもんじゃないでしょ。

今後、性って何?って話になったときに
女のほうが有利なのか?

なんか、検察には女が多いらしいけれど何でだろう?


さて、裁判が始まったものの
なんか、ぼそぼそって感じで傍聴席からは話がよく聞こえない。
マイク必要なんじゃないの?

そんな状態で、いかにも自信のなさそうな読み方で
検察が起訴状、そして冒頭陳述書を棒読みした。

*冒頭陳述書:
  検察官が証拠により証明しようとする事実を記したもの
  裁判では、冒陳と省略されていた

*求釈明申立書:
  弁護人の検察官に対する起訴状の記載内容に関し
  説明を求める質問状
  求釈明に対する検察官の回答が釈明書

裁判前に行われている
起訴状に関する弁護側の求釈明申立書に
対する検察の釈明書もそうであったが、

この冒頭陳述や釈明書に対する弁護側の質問
●マスク画像自体がわいせつかどうか?
●どういう行為が幇助というのか?
などに検察は全然答えることができない。

そのほとんどに関して
後日書面で提出すると逃げた。


注目だったのは
冒頭陳述での検察の棒読み。

検察は、URLの読み方を知らなかった!!

コロン、スラッシュ、ドット、チルダーを読むところになると
声をどもらせ、結局、全て読めなかった。


「後日書面で提出します」

これは

「これから、いんたーねっとのおべんきょう」

って事としか思えない。


検察官は、インターネットをほとんど知らないと言っていい。

インターネットやMASKツールの
テクニカルな部分を議論できる人ではない。

こんなレベルの低い裁判だとは思ってもみなかった。。


報道の多くは、裁判は長期化するだろうって書いてるが
この裁判が長期化する場合の原因は
検察の不勉強に他ならないだろう。

こんなので、我々を裁いていいのか?

こんなので逮捕するってあんた達何者?


第2回公判に続く


★第2回公判はいよいよ猛勉強してきた検察が
  弁護側の質問に答える日である。
  さあ、どれだけ勉強してくるのか楽しみである。



●●第一回公判の要点●●

作成協力:大阪大学新聞会 樋口陽介さん


■起訴状 冒頭陳述の内容■(検察側の主張)


●用語●

  正犯:アダルトクラブJ−BOX運営者
     あまちゅあふぉとぎゃらりー運営者(滋賀県の会社役員)
     の2人
  幇助犯:FLMASK作者
  幇助:正犯者の実行行為(犯罪)を助ける
 
【正犯の犯行】
 正犯(HPの主催者)が、マスク画像データを、
マスクの使用情報とともに、プロバイダのディスクアレイ内に
記憶・蔵置させ、利用者に「男女の性器・性行為の露骨な」を
復元可能な状態を作り、猥褻図画を公然と陳列した。


【幇助犯の犯行】
 K氏は、正犯2名の行為に先立ち、その「情(意味不明のため
弁護人は釈明を要求)」を知りながら電子メールのやり取りをして、
1、K氏のページから正犯のページにリンクを張ること
2、正犯のページにはFLマスクの具体的な利用方法に関する
    データを掲載すること
3、マスク(1500円)を無償で使用させること
    を取り決めて、正犯者に
1、「男女の性器・性行為の露骨な」猥褻画像を掲載させ
2、使用方法に関するデータを掲載させると共に、
K氏は自らのページからリンクした。

よって、正犯の陳列行為を可能にした。

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この起訴状 冒頭陳述に対した弁護側の質問に
検察はほとんど答えなかったため、
弁護人側は第2回公判までに
検察側に、以下のように再求釈明(質問)する予定。


■再求釈明■

【正犯の実行行為に関して】

1、猥褻図画とは何か。冒頭陳述で言うところの
  「電磁的映像」が図画か、データそのものが図画か。
2、マスク処理をしたデータorハードディスクも「猥褻」か。
  マスク処理した画像が「陳列」行為にあたるのか
3、冒頭陳述の「アダルトクラブJ-BOX」が掲載したという
   155画像とはいつの時点のものか。
   数回に渡るアップデートはどう評価しているのか。
   一つの実行行為か
4、実行行為はマスク画像のディスクアレイへの送信行為のことか、
    行為自体に「可能な状況を設置した」という点も入れるのか。
   「状況の設定」は構成要件的結果なのか、実行行為そのものか。

【幇助行為に関して】

5、幇助の意思及び、共謀、相互連絡について
  幇助の要件となっている「取り決め」の意味は何か。
  1)《時期》いつ取り決めたのか
  2)《内容》どんな
  3)《方法》どうやって?メールだけで、顔も合わせてないし、
                面識もないのに。
6、幇助行為は
  1)相互の情報データを掲載すること
  2)無償でソフトを使用させること
   なのか。それとも、その取り決め自体のことを言うのか。
   また、これらも、実行の着手前というのか。
7、拘留状では、予め画像掲載のページがあり、
    それを見てK氏が呼びかけ、アクセスができるように
    データを作成したとあったが、冒頭陳述ではこれら
  は書かれていない。否定するということか。


●裁判の問題点● 

1、 無修正アダルト画像の公開が、刑法の陳列にあたるはずで
   問題はそれが猥褻かどうかのはず。
   ところが検察は、マスク処理した画像そのものの
   掲載をわいせつ画像の陳列と主張している。
   争点は、マスク画像をダウンロードした利用者が
   自分のパソコン内でマスクをはずすことに成功した場合
   その利用者の行為まで犯罪行為、
   すなわち「実行行為」に組み込むことができるか?ということ。

2、 この事件では、過去の判例を逸脱して、
   データそのものを処罰の対象としている点が問題。
   これまでは、常に、データを、ものに固定化させることを
   判例が求めていた。
   10年前の刑法改正の際に、
   このデータに関する条文が追加された経過を考えても、
   データをものとするには無理がある。

3、 リンクをすること自体が幇助なのか明確でない。
   もし、リンクを幇助とするのであれば、
   インターネットは維持できなくなる。
   検察は、今まで、あらゆるリンクが犯罪となることを
      強力に主張してきた。
      しかし、情報では、検察もリンクだけで違法ってのは
      厳しいと考え始めてるようで
      リンク+αで違法って方向に切り替えていくらしい。
      この辺は、第2回公判あたりで明らかになるだろう。


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